授業内容の補足・推薦図書の追加・言語学よもやま話など


by jjhhori

裏話2:著者(1)「表紙のイラストから」

テキストの著者は,どんな人でしょうということで,よもやま話を少々.

お顔は,カバーに写真がありますので,お分かりですね.しかし,著者を知る私としては,この写真,ある意味,貴重です.というのも,スーツをお召しになっている.先生がスーツをお召しになっているのをみたのは,数えるほどしかなく,いつもカジュアルな服装でした.むしろ表紙の絵の方が私には馴染みが深く,研究室を訪ねると,大体こういう感じでお座りになって,下から見上げるように「それで,あーたねぇ」(註:「あーた」は「あなた」)とおっしゃるお姿がいまだに目に浮かびます.特に,チャペック兄弟協会が作った深緑のセーターの印象が強いですね.

表紙のイラストには,エミール・ガレの作品がいくつもあったり,チェコの作家との書簡があったり(チェコの文学作品の翻訳書も多く出されています),あるいは,「原稿は鉛筆でいつも書く」というあたりに,先生を知る人は思わずニヤッとしてしまうものですが,それを嘆息に変えてしまうのは,先生の蔵書の多さです.

カバーを外してみましょう.そうすると,「第2サティアン」というのが出てきます.要するに本だけの部屋.「第2サティアン」には,主にチェコ文学の本があり,更に,「第1サティアン」と「第3サティアン」というのがあって,「第1」には言語学とスラブ学関係があり,「第3」には構造主義,チェコ文学,スラブ語学関係から精選したものがあったそうです.勿論,これらは別宅で,ご自宅にも相当な量の本があったようです.先生がお亡くなりになって,それらの本の一部がいくつかの大学の図書館に寄贈されたそうですが,それらがどのように利用されているのか,私はよく知りません.

先生の蒐書ぶりは,半端ではなく,研究室(私のそれの2倍はありました)の本棚は本で溢れかえり,更に床にも本が平積みになっていて,ちょっとかばんがあたると,それらの本の山を崩してしまいそうでしたので,その本の山の間にできた谷を慎重に歩かなくてはなりませんでした.更には,研究室の外の廊下も,本が詰められた段ボールが何十箱と並んでいるほどでした.ちなみに,先生のお嫌いな質問の1つは,「これらの本を全部読んだんですか?」というもので,「こんなの全部読んだら,キチ*イになっちゃうよ」とおっしゃっていたものです.

先生がお書きになった古書蒐集のエッセイには,『プラハの古本屋』(大修館書店),『ビールと古本のプラハ』(白水社)があります.これはおすすめです.特に古本屋好きにはたまらない本です.尚,前者を読んだら,先生の師匠であられる徳永康元先生の『ブダペストの古本屋』(恒文社,絶版)を一読することをお薦めします.これもたまらん1冊です(笑).

ちなみに,言語学の人には古本屋好きが多いようで,古本屋めぐりが嫌いなのは,言語学をやってはいけません(笑).私も国内外を問わず,旅先でまずどこに行くかといえば,古本屋です.おかげで観光名所をいくつ見逃したことか・・・.

こんなことを書いていたら,久々に古本屋めぐりをしたくなってきたではないか.静岡で堪能できないのが残念です.
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by jjhhori | 2004-05-21 18:43 | 裏話