授業内容の補足・推薦図書の追加・言語学よもやま話など


by jjhhori

裏話3:著者(2)「毒舌家」

今週は,創立記念日にぶつかり,授業が1回飛んでしまいましたので,せめて「裏番組」には何か書いておこうということで,著者ネタ第2弾を.

著者を知る人は,著者を評して「毒舌家」といいます.とにかく,ダメなものはダメ,いいものはいいというのが実に明解で,授業中も著名な言語学者の名前を出しては,「**はバカだ」とはっきりとおっしゃっていました.多少先生の偏見が入っていたのかもしれませんが,しかし,いわれてみればなるほどと思うことがその後になっていろいろあり,先生のおっしゃっていたことはある意味真実だったと思います.それだけ,人を見る目は確かで厳しかったということです.

ゼミでは,ヨーロッパ系の言語をやっている人は,先生がそれらの言語に通じていることもあって,うかつなことをいうと厳しく突っ込まれていました.特に,英語を研究している学生に向かっては,「あーた,中学,高校と散々英語をやって,まだ英語やるの?もっと他に面白い言語があるんだから,それをやりゃいいのに,バカだねぇ」とよくおっしゃっていましたので,英語の学生の中には先生を嫌う者も少なからずいたようです.

しかし,「バカだ」とおっしゃっても,言われた学生も笑っていたので,罵倒などではなかったと思います.先生が心底「バカだ」と見做していたのは,一部の言語学者と同僚(笑)で,私もとある先生のことでご相談したら,先生はものすごく憤慨なさり,「あんなバカの世話にはなるな.私が面倒をみる」とかばってくださったことがあります.実際,学生や弟子に対して「バカだ」とおっしゃることは絶対になく,とても学生思いの先生でした.

先生が2度目に入院なさった時,友人とお見舞いに行くつもりでいたのですが,あいにく私はどうしても抜けられない会議があって,一緒に行けず,結局,その友人が1人でお見舞いに行きました.その時,先生は聴力を失っておられ,こちらの意思を伝えるには専ら筆談でしたが,お口の方は相変わらずお達者で,「アイツはバカだ」「今度出た本,あれはダメだねぇ」と連発されていたそうです.お見舞いから帰ってきた友人から先生のご様子を聞いて,「あぁ,まだお元気なんだな」と安心したのですが,そう思ったのも束の間,それからほどなくして,不帰の客となられました.あの毒舌がもう聞けなくなったのは本当に残念です.

と,まぁ,こんなことを書いていると,「アイツはバカだ」といわれかねないので,今日はこの辺にしておきましょう.
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by jjhhori | 2004-06-03 18:17 | 裏話