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授業内容の補足・推薦図書の追加・言語学よもやま話など


by jjhhori

言語

言語学がどういう学問かを知るには,テキストにあげられている入門書3冊を読めばそれでおしまいなので,もうこれ以上書くことはありません.ここで著者がおっしゃっている真意について私なりに付言しますと,言語学が分かるようになるには,入門書の類をたくさん読んだりしても無駄で,自分の知らない言語の文法書を丁寧に読むことこそ言語学の理解につながるということです.これは,著者が常々おっしゃっていたことですし,もとをたどれば,河野六郎先生がおっしゃっていたことでもあります.つまり,日本語や英語しか知らないという硬直した言語観ではなく(しかし,日本語や英語の研究者にはこの手の連中が多い!),言語のみせる様々な事象に触れることによって,自身の言語観を膨らませるのが言語学を理解するための道といえます.戒めるべきは,日本語とヨーロッパの言語を少しかじって,「そもそも言語というのは」などといった安易な一般論を出すことです.

ところで,テキストにあげられている入門書のうち,ユアン・レン・チャオ『言語学入門-言語と記号システム-』については,私もよそで紹介しましたので,そちらをご覧ください.著者の趙元任(Yuen Ren Chao)も私が私淑する言語学者のひとりで,中国語学だけでなく,言語学でも大きな足跡をのこしたにも拘わらず,まとまった著作集というのは,これまであまり出版されていませんでした.その分野が言語学だけでなく,物理学や数学,更には音楽までに及ぶので,全集の類はまず出ないものとあきらめ,ならば自分で集めようと,趙元任の書いたものをこれまでせっせと集めていたのですが,この間,神田の某書店に行ったら,『趙元任全集』なるものを発見し,久々に衝動買いしてしまいました.出たのはまだ第1巻だけ,店員さんに聞けば,1年に1巻の割合で出していくとのこと.全部で20巻,つまり娘が成人する頃に全巻完結するのか・・・(苦笑).でも中国だからねぇ,私が生きている間に完結するんだろうか.

それでは,みなさん,夏休みのレポート,楽しみにしています.頑張ってください.このページの更新の頻度は落ちますが,気が向いたら,また何か書こうと思っています.「あ,そういえば」と思い出した時に,ぜひお立ち寄りください.
by jjhhori | 2004-07-29 15:52 | テキスト